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「相続と消費税」について

相続により消費税の納税義務者となった場合の「簡易課税制度選択」の可否判定と届出

 相続人が消費税の納税義務者となるか否かについては、特定遺贈の場合を除き被相続人の基準期間の課税売上が影響すると2ページで説明しました。

 では、簡易課税制度を適用できるかどうかの判断においてはどうでしょうか。
 簡易課税制度を適用できるのは、基準期間の課税売上が5,000万円以下であることが条件です。
 この場合、被相続人の課税売上は合算されて判定されるのでしょうか。
結論…被相続人の課税売上は考慮せず、相続人の基準期間の課税売上高のみで判断されます。
 つまり、被相続人の基準期間の課税売上が5,000万円を大きく超えていても相続人の基準期間の課税売上が5,000万円以下であれば簡易課税制度を適用することができます。
 それでは、「簡易課税制度選択届出書」の届出期限等はどうなるのでしょうか。
 本来、簡易課税制度を選択するためには、適用しようとする課税期間が始まる前に「簡易課税選択届出書」を税務署に提出する必要があります。
 たとえ被相続人が簡易課税制度を選択していたとしても、相続人は新たに届出書を提出する必要があります。
 この原則に従えば2019年途中で相続が発生した場合、その時点で提出期限を過ぎており(2019年に簡易課税制度を適用する場合、届出を2018年末までに提出する必要があるため)、相続人は2019年の消費税申告において簡易課税制度を適用できないことになります。
 そのため、相続時には救済措置があります。

 次の①②のどちらかの場合に限って、相続発生年の12月末までに「簡易課税選択届出書」を提出することにより相続発生年から簡易課税制度を適用することができます。
 (年末に相続発生した場合は宥恕規定あり)

① 相続人が、相続を機に事業を開始した場合
② 相続人が免税事業者で、かつ被相続人が簡易課税制度を選択していた場合

さいごに

 相続発生時に、被相続人が消費税の納税義務者であった場合、所得税と同時に消費税の申告も忘れないようにしましょう。
 そして、相続人の消費税の納税義務等も確認しておきましょう。
 また、事業を承継した場合、被相続人が「簡易課税制度」を選択していても相続人は自動的に引き継ぐわけではなく新たに届出が必要なのと同様に、青色申告なども新たに届出が必要です。
 各種届出とその提出期限には注意しましょう。

詳細な適用要件等は専門家に確認しましょう。

文 税理士・CFP(R) 西木敏明


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