不動産賃貸業の税務調査について(個人編)
不動産賃貸業の税務調査について
不動産賃貸業を営む個人・法人に税務調査が入ることは比較的少ないのですが、一定規模以上の賃貸物件をお持ちの場合(いわゆる資産家)や消費税の還付を受ける場合には税務調査が入ることがあります。
調査で確認される内容は申告時の注意点でもありますので、今回のコラムはその視点からもご覧下さい。
税理士に申告を依頼している場合には、税務調査の連絡は通常税理士に入ります。税務署から日程の要望はありますが、都合がつかない場合は変更していただいて構いません。
調査の日数は、調査官1名~2名で1日~2日程度。
調査時間は午前10時~午後4時(12時からきっちり1時間昼食休憩があります)で問題がない場合早めに切り上げることもあります。
調査項目(売上)
各部屋(家屋)の契約書などにより家賃や礼金が売り上げとして漏れなく計上されているか確認します。
また家賃の滞納がある場合にも売掛金として忘れず計上しているか、敷引(敷金保証金で返さなくてよい金額)があるとき、返還不要が確定した時点で収入計上をしているかなどを確認します。
調査項目(経費)
経費全般に言えることですが、家事費(不動産賃貸事業に関係ない個人的支出)を経費としていないかを中心に確認します。
[旅費光熱費・交際費・会議費・水道光熱費]
支出の目的・相手先など、事業との関連の有無を確認します。
[租税公課(固定資産税)]
賃貸物件以外の自宅などのものが入っていないか確認します。
[車関係の費用]
購入費を減価償却している場合も対象です。利用頻度(日数)や距離などで、家事費と事業経費を合理的に按分して経費計上されているか確認します。
[修繕費]
資産計上すべきものがないか、敷金から充当してないかを確認します。
[青色専従者給与]
従事している業務内容・量と支払い金額が適切かどうかを確認します。多すぎないかを問われることが多いようです。
これら調査時ポイントを確認の上、家事費を経費としていないか、逆に、いままで家事費として経費にしていなかったものでも合理的な按分基準で経費にできるものがないか再検討してみてはいかがでしょう。
税務調査ポイント
滞納している家賃も計上されているか
敷引が計上されているかなど
・経費
家事費が計上されていないか
混在する経費は合理的に按分されているか
専従者給与が過大でないかなど
文 税理士・CFP(R) 西木敏明