HOME › コラム › 税務関連コラム › 税務関連コラム2018年 › 「相続時精算課税制度」について

「相続時精算課税制度」について

「相続時精算課税制度」の特例 ~ 「非上場株式等についての贈与税の納税猶予及び免除の特例」 ~

 平成30年度税制改正により「非上場株式等についての贈与税の納税猶予及び免除の特例」(掲載コラム参照)の適用を受ける際の当該制度適用対象者は、贈与者60歳以上 受贈者20歳以上という年齢制限は変わりませんが、受贈者が、贈与者の直系卑属である推定相続人以外の者でも適用できるようになりました。

「相続時精算課税制度」を利用する場合の注意点は?

当該制度を使う
<メリット>
 ・ 将来値上がり確実な財産を贈与することにより相続財産の増加を防ぎ、
   相続人の財産形成ができる
 ・ 高収益物件を贈与することにより相続財産の増加を防ぎ相続人の財産形成ができる
 ・  まとまった財産を被相続人の意思で相続人に渡す(贈与)ことができる

<デメリット>
 ・ 当該制度を適用するとやめることができない
 ・ 将来贈与財産の評価が下がっても贈与時の評価で加算される
 ・ 不動産を贈与する場合は、相続時より移転費用(登録免許税・不動産取得税)が高い

 この制度の適用を届け出た場合、
前述のとおり「足抜け禁止」、取りやめることはできません。
つまり、暦年課税制度の110万円の基礎控除は使えなくなります。
そして、厳密には当該制度適用後は 1円であろうが金額にかかわらず申告が必要となります。

さいごに

 相続時精算課税制度の適用には注意すべき点も多いため、慎重に適用を検討すべきと考えます。
 長期対策が可能な場合には、まずは暦年課税制度の110万円の基礎控除の最大活用と「住宅取得資金贈与」「教育資金の一括贈与」「結婚子育て資金の一括贈与」等を検討したうえで、同時に相続財産の評価引き下げ対策を行うことをお勧めします。

詳細な適用要件等は専門家に確認しましょう。


文 税理士・CFP(R) 西木敏明


このページの先頭へ