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相続税の調査と重加算税について

重加算税の賦課決定となったケース

・ 相続人が相続開始前に多額の現金を引き出し自宅等に保管していたが、税理士からの現金に関する質問にも回答を避け申告書記載の現金が過少であることを認識したうえで申告を行ったため重加算税の賦課決定を受けた。

・ 被相続人が無記名債券や妻子名義の定期預金等で運用していたが、取得の状況や資金の出所、管理状況から相続財産であることを知りながら申告しなかった。
被相続人の隠ぺい仮装行為を利用したうえに相続人も本人確認の手続きを避けて少額の償還手続きを行うなどの隠ぺい仮装行為を行ったため重加算税の賦課決定を受けた。

重加算税の賦課決定が取り消されたケース

・ 相続人が被相続人の財産を原資とする多額の有価証券を記載しない申告書を提出したことから重加算税の賦課決定を受けたが、相続人は税理士より当該有価証券について問われることもなく、調査時には担当職員の求めに応じ当該資料を自主的に提出していることから隠ぺい仮装行為があったとまでは言えず重加算税の賦課決定が取り消された。

・ 相続人が「保険契約上の権利」を相続財産として申告しなかったことについて、相続財産であることの認識が乏しく調査時にも当該保険証書を提示していることからも隠ぺい仮装行為があったとは言えず重加算税の賦課決定が取り消された。

最後に

 相続税の申告漏れがあると、本来払うべき相続税額にプラスして加算税や延滞税を支払わなくてはならなくなります。
 また、申告漏れの内容によっては再度「遺産分割協議書」を作成する必要があるかもしれません。
 相続人の一部が相続財産を隠匿していた場合、調査での指摘後に親族関係が壊れるケースさえあります。
 このように短絡的な財産隠しはかえって高くつく場合が多いので、中長期の計画的な相続税対策が重要といえますし、申告にあたっては税理士等への適切な情報開示が大事であるといえます。

詳細な適用要件等は専門家に確認しましょう。

文 税理士・CFP(R) 西木敏明


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